書評

【書評】ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理

 2013/2/24 2回目読了。
 初版が出てから40年以上読み継がれている、株式投資の一般向け教科書。「個人投資家にとっては、個々の株式を売買したり、プロのファンドマネジャーが運用する投資信託に投資するよりも、ただインデックス・ファンドを買ってじっと待っているほうが、はるかによい結果を生む」(p.I)と主張する本。

 以下は各章のまとめ。
 第1部 株式と価値
  第1章 株式投資の二大流派
   ・「ファンダメンタル派」と「テクニカル派」の二つの流派がある。
  第2章 市場の狂気
   ・バブル経済の事例を3つ紹介する。
    1)オランダのチューリップ・バブル
    2)イギリスの南海バブル
    3)1920年代のウォール街バブル
  第3章 株価はこうして作られる
   ・1950年-90年の株価の変遷史。
  第4章 史上最大のバブル
   ・1990年代後半から2000年代初頭までのインターネット・バブルを紹介。
 
 第2部 プロの投資家の成績表
  第5章 株価分析の二つの手法
   ・株価分析には「テクニカル分析」と「ファンダメンタル分析」の手法がある。
  第6章 テクニカル戦略は儲かるか
   ・テクニカル分析には多様な手法がある。しかしどれも役に立たない。
  第7章 ファンダメンタル主義者のお手並み拝見
   ・ファンダメンタル分析は単純。テクニカル分析よりは役に立つ。
 
 第3部 新しい投資テクノロジー
  第8章 新しいジョギング・シューズ―現代ポートフォリオ理論
   ・現代ポートフォリオ理論は有力な株式投資理論である。
  第9章 リスクをとってリターンを高める
   ・株式投資理論に「β」と「CAPM」がある。
  第10章 行動ファイナンス学派の新たな挑戦
   ・行動経済学が従来の株式投資理論を揺さぶっている。
  第11章 効率的市場理論に対する攻撃はなぜ的外れなのか
   ・効率的市場理論は有力な理論である。
  
 第4部 ウォール街の歩き方の手引
  第12章 インフレと金融資産のリターン
   ・インフレが金融資産のリターンに影響を与える。
  第13章 投資家のライフサイクルと投資戦略
   ・投資家の立場によって投資戦略は変わる。
  第14章 ウォール街に打ち勝つための三つのアプローチ
   ・結局、インデックス・ファンドを買うのが最善の選択肢である。
 

【書評】物語 エルサレムの歴史

 2013/2/24 2回目読了。
 宗教都市エルサレムの通史。諸王朝がエルサレムを代わる代わる支配してきたことがわかる。紀元前の話はピンとこないので省略。イスラエルがエルサレムを支配下に置いてから50年足らずでしかなかった。

 以下はエルサレムを征服した王朝の時代区分。
  70年-614年 ローマ、ビザンチン時代
  614年-629年 ササン朝ペルシャによる征服
  638年-1099年 第一次イスラム時代
  1099年-1187年 十字軍時代
  1187年-1516年 第二次イスラム時代
  1516年-1917年 オスマン・トルコ時代
  1917年-1948年 英国委任統治時代
  1947年-1967年 ヨルダン王国時代
  1967年-(現在) イスラエル時代


【書評】日本経済の真実―ある日、この国は破産します

 2013/2/24 2回目読了。
 GDP(国内総生産)をすべての経済理論の出発点として、日本経済の現状を懇切丁寧に説明する本。

【書評】定本想像の共同体―ナショナリズムの起源と流行

 2012/2/11 2回目読了。
 ナショナリズム研究の現代古典。読み応え十分。

 以下は各章のまとめ。

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【書評】言葉とは何か

 2012/2/9 2回目読了。
 フランス語とソシュール言語学の研究者(日本における泰斗)が取り組んだ、「言葉とは何か?」について説明した本。出版社によるあらすじの言葉を借りれば「根源的で正解のないこの問いに真正面から取り組んだ、もっとも明晰な入門書。(中略)言語学、記号学、ソシュールに関心をもったとき、まず最初に読むべき一冊」。

 以下、本の章立てに沿った概要。

 機仝斥佞畔顕
  ・ある言語はその言語を取り巻く文化の総体そのものである。
  ・一つの言葉は一つの概念を指し示しているのではない。これは言葉に関する大きな誤解。
 
 供仝斥佞箸浪燭
  1)ホモ・ロクエンス
   ・人間の歴史は言葉とともに始まった。
  2)言語観の変遷
   ・西欧における言語研究は、次の3期間に分かれる。
    第1期(古代〜18世紀後半)
     …言語は機能に関する問いの対象ではなく、思念に関わる問いの対象だった。
    第2期(19世紀〜20世紀)
     …歴史上の複数の言語を比較して、共通の文法などを探求した。比較の基準とする言語はサンスクリット語だった。
    第3期(現代)
     …ソシュールの登場以降、言語は記号化された。言語の果たす機能についての研究が進んでいる。

 ※以降、ソシュール言語学をいくつかのテーマに区切って解説。
 
  3)言語能力・社会の制度・個人の言葉
   ・ランガージュ(普遍的な言語能力)、ラング(個々の言語)、パロール(具体的な音声の連続)は相互に依存しかつ作用しあっている。
  4)言葉の構造
   ・個々の言語は連辞関係(言葉のタテの関係)と連合関係(言葉のヨコの関係)から成り立っている。
  5)言葉の状態と歴史
   ・言葉の変遷は、言語が全体としてどのように変わったのかをとらえるべき。共時態(ストック)と通時態(フロー)とが尺度になる。
  6)言葉と物
   ・言葉はその言葉で現実を区切り、グループ分け、カテゴリー化する。一方で言語によって意味の体系は異なる。なので言語が変わると現実の区切られ方も変わる。言語は一つの世界像である。
  7)言葉と記号
   ・言語記号は表現(シニフィアン)の機能と意味(シニフィエ)の機能を兼ね備えている。
  8)言葉の単位
   ・言葉には記号素と音素とがある。記号素は言語記号の最小単位。音素は表現の最小単位。言葉は、有限の要素を組み合わせることで、ありとあらゆることを表現することができる。
  9)言葉の恣意性
   ・言葉は恣意性を2つの観点で持っている。
    1.ある言語の中での表現と意味の対応関係。「犬」という表現は[i・n・u]という音声でなくても良かったのに「inu」は「犬」を意味する。
    2.ある言語の中での複数の言葉の対立関係。「走る」という意味を表現するのには「歩く」や「座る」でも良かったのに、「走る」は「歩く」や「座る」や「立つ」などの別の表現があって初めて成立している。
   ・言語はどれほど成立の根拠が恣意的であっても、いったん成立すると、「意思を疎通するために使う」という機能を満たすため、私たちをこの恣意性に従うように必然的に拘束する。
  10)言葉の意味と価値
   ・ある言葉の持つ価値は、ある言語の体系の中で占める位置と大きさによってだけ決まる。価値の決まりも恣意的である。だから、決まった価値がふさわしくなければ、よりふさわしい価値を与えようと努力することもできる。



【書評】夜と霧

 2012/2/9 2回目読了。
 第二次世界大戦にてドイツのユダヤ人強制収容所に収容された「ごくふつうの」人(著者は心理学者であるが、彼曰く「ただの119104番でしかなかったと、胸を張って言いたい」(p.6))による収容所生活の体験記を、「心理学の立場から解明してみよう」(p.7)とした本。

 本では強制収容所における生活の段階を3つに分けている。
 第1段階は施設に収容される段階。それまで人間として扱われていた人が人間ではなく記号として扱われることに衝撃を受ける。
 第2段階は収容所生活そのものの段階。本の大半はこの段階について書かれている。極端な飢えから、自分と自分の周囲が生き残ることだけにしか関心がなくなり、大半の人間が刻一刻と変わる状況(本中では「運命」とも表現される)に怯えつつ翻弄されるようになる。一方でごく少数の人間が崇高な精神を持つようになる。
 第3段階は収容所からの出所ないし解放の段階。自由を獲得し、記号から人間に復活しようとする人たちが社会の復帰に困惑する。

 1回目に読んだとき(5年前)に読んで心を揺さぶられっぱなしでした。読んだ時期が就職活動で不安定な精神状態であったことも、心の揺さぶりに拍車を掛けた。今回、落ち着きながらじっくり読むことができた。

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【書評】現代政治学の名著

 2013/1/19 2回目読了。
 現代政治学の名著を紹介した本。文体差に紹介者の個性が見られる。

 紹介されている本は次のとおり。
  • ウォーラス『政治における人間性』
  • ウェーバー『職業としての政治』
  • ミヘルス『政党の社会学』
  • リップマン『世論』
  • メリアム『政治権力:その構造と技術』
  • ラスウェル『権力と人間』
  • ハイエク『隷従への道』
  • アーレント『人間の条件』
  • モーゲンソー『国際政治:権力と平和』
  • ダール『ポリアーキー』
  • ローウィ『自由主義の終焉』
  • ロールズ『正義論』
  • ハーバーマス『後期資本主義における正当化の諸問題』
  • 丸山真男『現代政治の思想と行動』
  • 辻清明『日本官僚制の研究』


 読んでみたいと思った原著は、『世論』、『隷従への道』、『人間の条件』、『国際政治:権力と平和』、『日本官僚制の研究』。

【書評】<宗教化>する現代思想

 2013/1/26 2回目読了。
 「現代思想(を説く人文社会学者には)は新興宗教(家)めくところがどうしても出てきがちである」と主張する本。こういう皮肉めいた文章は好き。


【書評】知的財産法入門 (岩波新書)

 2013/1/20 2回目読了。
 知的財産法(特許法、商標法・不正競争防止法、意匠法、著作権法などの総称)を解説。会社法務の実務で接しそうな話題が平易に書いてある。普段の仕事で時々目にする特許法と著作権法に関する記載をつまみ読みした。参考になる記載を以下に書きとめる。

 ■特許法に関する記載
 
「特許はあらゆる技術分野のイノベーションについて与えられるのが原則ですが、一つだけ例外があり、医療行為については、いかに新規なものであっても、特許対象から外す、という運用がなされてきました。
 理由としては、患者を前にした医師が、もしかしたら自分の治療行為が特許権侵害にあたるのではないかと治療をためらう、という事態は避けるべきである、ということがあげられています。医療分野の中でも、医師の医療行為以外の部分、つまり、衣料品と医療機器に関連する発明については、特許対象とされています」(p.36-37)

 
「特許法は、企業をはじめから発明者とするのではなく、あくまで、発明というものは個人(法律上は、会社などの法人と区別して「自然人」)だけが完成させることができる、ということを前提にしています。
 一見迂遠な制度のようですが、個人には自分で出願して特許を取得するか、あるいは、出願権を会社に譲った場合でも、会社から対価の支払いを受けられる、という選択肢があることになり、発明へのやる気が刺激される、という狙いがあるのです」(p.67-68)

 
「多くの会社では、あらかじめ社員との間にルールを定めておき、もし将来社員が職務上の発明を行った場合、会社に出願権が移るように決めてあります。
 特許法上、あらかじめ出願権の譲渡を決めておけるのは、職務発明に関してだけであると決められています。
 言い換えると、たとえ社員が勤務時間中に行った発明であっても、それが職務に関するものでなく、個人的なものならば、会社がその権利を譲ってもらうためには、発明が完成してから個別に社員にお願いしなければならない、ということになります。
 そこで、職務上の発明であるかどうか、という点が重要になります」(p.70)

 
「損害の賠償という制度は、もし侵害行為がなかったとすれば、獲得できたであろう仮想上の利益(逸失利益)を、損害を受けた者に対して回復することを通じて、侵害がなかった状態に戻すという発想を基本としています」(p.102)


 ■著作権法に関する記載
 
「著作権は、特許と違い、国への出願や審査といった手続きの必要なく、権利が発生します。それでは、権利が発生しているか、どうやって確認すればよいのでしょうか。(中略)
 確認する方法は一つだけ、裁判を起こして判決をもらうことです」(p.54)

 
「著作権は国の審査を経て成立した権利ではなく、特許の書類のように、権利反意を判断する公的な手掛かりもないため、問題となった作品のうち、どこまでが表現内容の部分であり、どこからが表現の部分であるかという線引きは、むずかしい作業となります」(p.61)

 
「著作者には、二種類の権利があります。
 一つは、音楽や小説をコピーしたり、上演したり、放送したり、といったいろいろな利用をして、経済的に利益を得ることに関する権利です。『著作権と呼びます。
 もう一つは、音楽や小説が勝手に公表されたり、改変されたりすることにより、著作者の人格が傷つけられるのを防止する権利です。『著作者人格権』といいます。
 このように、著作者は、著作権と著作者人格権を持ちます』」(p.79-80)

 
「著作者が持っている権利のうち、著作権だけは、他人に譲ることができます。この場合、著作権を譲り受けた者は『著作権者』と呼ばれます。一方、著作者には、著作者人格権が残ることになります」(p.80)

 
「著作者人格権で注意すべき点は、譲渡が禁止されているということです。『意に反する』かどうかは、著作者自身の判断にかかりますので、このような権利を誰かに譲って、著作者本人にかわって判断してもらう、ということは想定できません。
 法律の建前はこのようなものですが、実際の取引においては、著作者からいつ何時無断改編で訴えられるかわからないというのでは困りますので、あらかじめ、『著作者人格権は行使しません』といった取り決めを結ぶことも多いといわれます」(p.116-117)

 
「『著作権』というのは、著作者に与えられたいろいろな種類の権利のうち、財産的な権利に属するものの総称です。具体的には、複製、上演・演奏、上映、公衆送信、後述、展示、頒布、譲渡、貸与、翻訳、翻案、といろいろな権利があります」(p.119)


 2011/11/9 1回目読了。
 特許事務所に勤める友人の影響で買った本でした。いまは自分の担当業務(法務)に直結するので、実務で使う考えかたもいくつか見つけられてよかったです。 次は独占禁止法の入門書を読んでみます。仕事でときどき出てくるのですが、全然知らないのです。。



【書評】さよなら、サイレント・ネイビー ――地下鉄に乗った同級生

 2013/1/20 2回目読了。
 東京大学助教授である著者(伊東乾)とオウム真理教サリン事件実行犯(豊田亨)による実質的な共著。2人は東京大学理学部物理学科の同級生だった。「誠実な人格者であり真摯な科学者の卵」と著者が評する豊田がなぜオウム真理教に出家し(実質的には拉致されたと本中では説明されているが)、オウムの教義(=似非科学を纏わせた既存宗教の偽物教義)を科学分野において支援したのか、そしてテロ事件を実行したのか。自分と地下鉄に乗った同級生とを隔てたものはなんだったのか。本書は、公判資料やオウム関連文献をもとに、また小菅拘置所にて拘留中の豊田と接見・文通を通じて著者が追い掛けた記録になっている(大学卒業から現在に至るまでの一種の自伝的要素をも含まれている)。科学と宗教の関係に関して論じ、事件再発防止のためのマインドコントロールの予防の重要性を説く。また著者は加害者の立場(サリン事件実行犯)でありながら被害者(オウム真理教によるマインドコントロール)でもある豊田に死刑を執行すべきではないと主張する。(ただし豊田自身は「人間として生きている資格がない」と自身に対する「死刑宣告」(p.337-340)を述べたあと、沈黙を堅く守っている)。

 文書の冒頭に東京メトロ日比谷線と小菅拘置所に関する記載が出てくる。サリン事件は東京メトロ日比谷線沿線で発生した事件である。日比谷線は日常に使う路線で、事件発生当時は母親も同時刻に日比谷線に乗っていたことからもつい気に留めてしまう。また自分の住まいの近くに小菅拘置所があるため印象に残っている(物心がつくまで、塀に囲まれたよくわからない場所が拘置所であると私は知らなかった。数年前に改築された現在では、病院のような白い建物になっていて、拘置所とは一目でわからないと思う)。

 著者がオウムを調べるに当たり書きまとめた問題意識群と、調査の過程で見つけていった当座の答えは次のとおり。
 
 1. なぜ、人々はオウムや麻原彰晃に心酔したのか?
  1-1. 在家信者向けには、メジャー仕様の雑誌やラジオ、テレビ放送、温かそうな教団施設の雰囲気などでくるんだ、教団や教祖の親和的なイメージの植え付けを励行。
  1-2. 出家信者向けには修行と称して恐怖感などを植えつけて心理支配した。また組織内での虚栄心や、さらには性欲などまで悪用して破壊的マインドコントロール、洗脳を実行。
  1-3. 麻原の目を信者が見ることができない。この事実には案外深い根があるかもしれない。
 2. なぜ、若者はオウムでの「修行」に惹かれたのか?
  2-1. すでに戦後の日本社会が出来上がり切って、必ず答えのある問題を塾で解かされて人生選択してきた世代。コンビニでたいがいの用が済み、自分たちでルールから作る「遊び」よりファミコンの方が一般化した生活感、価値観。オウムの完備された「修行システム」。
  2-2. オウムの修業はロールプレイング・ゲーム式に「ステージ」が上がるとともに、対応する「物理的快感」が準備されていた。「クンダリニーの覚醒」を皮切りに、虚栄心をくすぐるような霊感商法によって、快楽に裏打ちされた「修行システム」で信者をとりこにしていった。
 3. なぜ、未来あるエリート科学者の卵が、あんな荒唐無稽な教団に走ってしまったのか?
  3-1. 戦時中の軍事科学者同様、自分たちは科学を使って聖戦を戦っていると思い込まされていた。
  3-2. 大学にも、企業その他にも、自由な研究の未来が広がっているわけでは全くなかった。(その構造要因は、現在に至るまで、大学も研究機関も、まったく無自覚のまま温存)
  3-3. 戦前の日本の大学において(あるいは現在の海外の大学でも)、荒唐無稽なものを含め軍事研究は数多い。また、エリート科学者の卵が多数これらに従事する実情は、現在も一切変わっていない。(21世紀の日本が、どうやってこれらの例外であり得るのかが、最大の問題ではないか?)
 4. マインドコントロールされて犯行に及んだとき実行者はどういう意識だったのか?
  4-1.テロの「行為」は実行者自身の「気づき」に先立ってしまった。
  4-2. 恐怖によって大脳皮質は虚血状態となり、「大脳の退化した二足獣」になっている。現行法や裁判は、このような人間の生理を的確に酌量しやすいシステムになっているとは言いがたい。
 5. 人々をオウムに駆り立てた本質的エネルギー源は何か?
  5-1. 性という生物の根源的な力が社会的に抑圧されている状況を、オウムはもっとも悪辣に利用。
  5-2. さまざまな人間の思惑と価値観を、性の活力と結び合わせてシステムが組まれていた。社会もメディアも、抑圧の実態をあからさまに自覚していない。原因が放置されているので、悪意を持つ者があれば、さまざまな思惑をこのエネルギー源に結び付けて、何度でも同様の犯罪を計画することが可能。
 6. 宗教と科学の間の明確な矛盾を彼らはどう考えていたのか?
  6-1. 既成宗教を科学で否定した上で、オウム自身を、科学を前提に科学を超える唯一の宗教だと規定。矛盾の指摘は、恐怖支配でタブー化(疑問を持つと今までの苦行が水の泡、地獄行き、ポア=抹殺される)。
  6-2. 豊田ら科学者の卵を拉致したひとつの理由は宗教の似非科学の合理化に利用するため。またその「科学的実証」に従事することで、本当はトリックがあるのに、自分の測定したデータなどで、誤った核心を深めたりした様子。
 7. 再発防止のために最初にしなければならないことは何か?
 7-1. 人間「集団」に創発する破壊的現象の責任を、無理矢理「個人」に押し付けても、本当の原因は決して解消されない。しかし、創発の引き金を引く「個人」は存在する。そういう「個人」が、無自覚に繰り返す同じ過ちを、止めさせなければ自体は必ず悪循環をくり返す。結局、最初にしなければならないことも、最後に帰ってくるべきところも、「個人」の自覚を促すこと。行為の当事者本人が、自覚できるかどうか、再発防止のすべてはここにかかっている。
 


【書評】敗戦真相記―予告されていた平成日本の没落

 2013/1/13 2回目読了。
 日本がなぜ戦争に負けたのかを明晰に分析した本。


【書評】後藤田正晴―二十世紀の総括 (21世紀へのメッセージシリーズ)

 2013/1/12 2回目読了。
 政と官の世界で頂点を極めた故後藤田正晴氏(中曽根政権で内閣官房長官、警察庁で長官)のインタビュー。戦後政治史の証言録にもなっている。後藤田氏の深い知性と大きい度量が感じ取れる。一例が権力を行使することへの敏感さと慎重さ。インタビュー当時(1998年)の現在認識と次代(2010年頃)の予想が現代(2013年)とそうずれていないように思えるのが驚き。後藤田氏の発言が「正しい歴史認識」の積み重ねに基づくためか。

【書評】バビロンの大金持ち The Richest Man in Babylon

 2013/1/12 2回目読了。
 長年読み継がれてきた、蓄財に関する成功哲学の名著。バビロンの大金持ちたちがどうして蓄財に成功したのかを物語で紹介。「金貨の五原則」は古今東西不変の真理。
 ■金貨の五原則■
 1. 金貨は「堅実な者」のもとへみずから進んで、しだいに量を増しながら流れ込む。「堅実な者」とは、稼ぎの少なくとも十分の一を蓄えにまわし、自分や家族の将来を支える資産を創り出す者を言う。
 2. 金貨は「賢明な持ち主」のためならば喜んでこつこつと働く。「賢明な持ち主」とは、金貨に儲かる仕事をあてがい、金貨をけものの群れのごとく増殖させる者をいう。
 3. 金貨は「慎重な持ち主」の庇護のもとを離れない。「慎重な持ち主」とは、金貨の扱いに長けた人間の助言に従って投資する者をいう。
 4. 金貨は「軽率な者」のあいだをすり抜ける。「軽率な者」とは、自分が精通していない事業や用途に、あるいは蓄財に長けた者がよしとしない事業や用途に投資する者をいう。
 5. 金貨は「強欲な者」の手から逃げ去る。「強欲な者」とは、金貨に無理な働きを強いる者、あるいは詐欺師や策士の甘い言葉に乗せられる者、あるいはおのれの現実離れした未熟な願望に投資する者をいう。


 ただ、この本では蓄えた財産をどのように使うかを述べていない。蓄えた財産をどのように使うかは各人に残された課題。


【書評】平家物語 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

 2012/12/16 2回目読了。
 大河ドラマ『平清盛』が最終盤を迎え、諸行無常・因果応報のおさらいに平家物語を再読。映像イメージを踏まえて人間相関を整理できたので最後まで読み物として楽しめました(人物の名前が似ていて混乱するんですよね)。。「灌頂の巻」(最終巻)にて、登場する建礼門院(平清盛の次女で安徳天皇の生母)に後白河法皇(建礼門院夫の父)が見舞います。平家追悼の院宣を源氏に与えたのは後白河法皇でしたので、平家と後白河法皇は仇敵の間柄でした。したがって、「滅亡した平家一門の供養をする建礼門院を、後白河法皇が見舞ったことは、平家と皇室とが恩讐を超えて和解したことを意味する」(p.280)そうです。さらに出てくる登場人物に建礼門院に仕える女性が2人いますが、1人は平治の乱で殺害された後白河法皇の側近(信西入道)の娘、もう1人は源氏に斬首された平清盛五男(平重衡)の妻です。ここでも巡り巡って人がつながることを表しています。


【書評】「世間」とは何か (講談社現代新書)

 2012/12/16 2回目読了。
 古来から日本人の生き方を支配してきた「世間」という枠組みをそれぞれの時代の文献(吉田兼好、井原西鶴、夏目漱石、永井荷風/金子光晴など)から描き出そうとした本。ドイツ中世史を専門とする著者の手になる日本文化論なので(著者も自身を門外漢と認めています)、新鮮な見方かもしれないし的外れかもしれない。
 「世間とは個人個人を結ぶ関係の環であり、会則や定款はないが、個人個人を強固な絆で結びつけている。しかし、個人が自分からすすんで世間を作るわけではない。何となく、自分の位置がそこにあるものとして生きている」(p.16)

 「日本の個人は、世間向きの顔や発言と自分の内面の想いを区別してふるまい、そのような関係の中で個人の外面と内面の双方が形成されているのである。いわば個人は、世間との関係の中で生まれているのである」(p.30)

 「日本の個人は世間との抜きさしならない関係の中でしか自己を表現しえなかった」(p.236)

 

【書評】給与明細は謎だらけ (光文社新書)

 2012/12/16 2回目読了。
 ボーナスが手に入り、年末調整の時期にもなったのでサラリーマンにかかわる所得税について勉強し直そうと再読。過去に源泉徴収と年末調整について少し調べたことがあるのでその知識の確認ができました。ライフサイクルに応じて説明箇所の興味に濃淡はどうしてもあり、退職や年金に関する記載はピンと来ず。給与明細の読み方(第1章)は誰にも役に立つでしょう。


【書評】考えあう技術 (ちくま新書)

 2012/12/9 3回目読了。
 教育社会学者と哲学者が個人の自由と社会的平等の両方が成り立ちうる地点を目指して、「ともに考え、わかりあう」ことについて徹底的に議論する本。マーカーを引いてある箇所をみると、「参加者間の議論の土台を揃える」ことに宮田が強く関心を持っていて、模擬国連の役割ではDirectorが一番好きだし一番うまくこなせることを再実感。そういえばDirectorを務める人にもこの本を推薦して配ったことがあります。



【書評】「民族浄化」を裁く―旧ユーゴ戦犯法廷の現場から (岩波新書 新赤版 (973))

 2012/12/9 2回目読了。
 旧ユーゴ戦犯法廷における裁判の様子を紹介。筆者は旧ユーゴ戦犯法廷で裁判官を務めた。法廷に証人として立ったひとびとが語るユーゴ内戦の実情(そのごく一面を切り取ったものにすぎないとはいえ)が、人びとの生死を分けたのはぎりぎりの一瞬であったこと、証人がそのことを自覚していること、旧ユーゴ内戦の根本が各国指導者の勢力争いであったこと、勢力争いのロジックに民族と宗教が使われたこと、市井の人びとは勢力争いに巻き込まれて殺され(かけ)たことを伝える。



【書評】教えてあげる平清盛 (角川ソフィア文庫)

 2012/12/9 2回目読了。
 平清盛を主人公に源平時代を超解説する本。とても分かりやすかったです(一方で、統治者が複雑に入り乱れたこの時代を学校教科書でさらっと説明するのは困難極まりないと思いました)。この時代の人物は誰もかれもが似たような名前を持っているので(名字は平か源か藤原のどれかがほとんど)、大河ドラマ『平清盛』をちょいちょい観て、登場人物のビジュアルと名前を結びつけて、一年かけて人物相関図を整理しました。
 2012/3/18 1回目読了。
 表紙に惹かれて購入。大河ドラマ『平清盛』の予習にぴったり。院政期~平家滅亡の流れについて、平易な記述で勉強になりました。今晩の放送も楽しみ。



【書評】経済物理学の発見 (光文社新書)

 2012/12/9 2回目読了。
 経済物理学(経済現象を物理学の研究手法を用いて分析する学問)の解説書。著者はベノワ・マンデルブロ(フラクタル幾何学を創造した数学者)の一番弟子。数式等々はゼロで出来る限り分かりやすく書こうとしてくれていることは伝わるが、私が物理の素養を鍛えていないために読みこなすのは厳しかった。


【書評】新版 敗戦前後の日本人 (朝日文庫 ほ 4-9)

 2012/12/9 2回目読了。
 敗戦前後の日本人を描く。著者は敗戦前後に5、6歳で、「戦後民主主義の良い面の影響を受けた」と思うがゆえに、事実を歪曲した歴史がまかり通って歴史になっていくことに静かな口調で断固として反対する。この本もその思いの表れと読める。



【書評】完全教祖マニュアル (ちくま新書)

 2012/12/9 2回目読了。
 古今東西の宗教を「信者をハッピーにするために作り上げられた方法論」という機能の面から読み解く本。宗教のチェックリストが参考になる。

 1. 思想面では
  1)教義を作ろう
   □神を生み出そう
   □既存の宗教を焼き直そう
   □反社会的な教えを作ろう
   □高度な哲学を備えよう
  2)大衆に迎合しよう
   □教えを簡略化しよう
   □葬式をしよう
   □現世利益を謳おう
   □偶像崇拝しよう
  3)信者を保持しよう
   □怪力乱神を語ろう
   □不安を語ろう
   □救済を与えよう
   □食物規制をしよう
   □断食をしよう
   □暦を作ろう
  4)教義を進化させよう
   □義務を与えよう
   □権威を振りかざそう
   □セックスをしよう
   □科学的体裁を取ろう
   □悟りをひらこう
 2.実践面では
  1)布教しよう
   □弱っている人を探そう
   □金持ちを狙おう
   □親族を勧誘しよう
   □人々の家を回ろう
   □コミュニティを作ろう
   □宗教建築をしよう
  2)困難に打ち克とう
   □他教をこきおろそう
   □他教を認めよう
   □異端を追放しよう
   □迫害に対処しよう
  3)甘い汁を吸おう
   □出版しよう
   □不用品を売りつけよう
   □免罪符を売ろう
   □喜捨を受け付けよう
   あえて寄付をしよう
  4)後世に名を残そう
   □国教化を企てよう
   □奇跡を起こそう
   □神に祈ろう

 宗教は方法論にすぎないので、Aさんがある宗教アを通じて「自分が幸せだ」と思えているならばその宗教アは(Aさんにとって)善い宗教で、宗教イも同様に善い宗教かどうかは世に問われるべきことではないし、宗教アはBさんにとっても同様に善い宗教かどうかも世に問われるべきことでもない。ただ日本では「無宗教」を立場に取る人が大半で(気合いの入ったわけではなくてなんとなく無宗教)、大なり小なり宗教に対する理解が薄く、宗教が個々人の世界像を作るものとして認知されにくいところがあります(結果として宗教が世に問われることはないものの、宗教に対するなんとなくの拒否反応が生じることもあります)。


【書評】政治の教室 (PHP新書)

 2012/11/25 2回目読了。
 衆院選が近いので政治について勉強しようと思い。「法の支配」が儒教と全く相容れない考えであることが分かって勉強になりました(p.71-76)。巻末の「草の根民主主義の作りかた10ヶ条」(p.211-231)は実行ハードルが高すぎる。

【書評】MASTER KEATON 12 完全版 (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

 2012/11/25 完全版を読破。マスターキートンは約20年前の漫画ですが、時間の罠にも全然負けていない傑作。

【書評】なぜ人を殺してはいけないのか―新しい倫理学のために (新書y (010))

 2012/11/25 2回目読了。
 1回目は8年前の大学ゼミ(倫理学)倫理に関する十個の問いについて筆者の問答が繰り広げられる。問答の結果をどうこう言うより、問答の過程を追体験して自分なりに引き付けてみることが大事だろう(著者曰く、<「永遠の課題」をまさに現代の生きた具体的状況との接点において引き受け考え抜くこと、それがこの本で私が自分に課したことである>(p.5))。

 本書で取り上げられる問い(p.4-5)と、問答を通じて変化した問いは次のとおり。
 /佑浪燭里燭瓩棒犬るのか→人の生きる意欲を支える一般的な原理はあるのか。あるとすればそれは何か(p.34)
 ⊆殺は許されない行為か→人に生きる意欲を与え、自殺を簡単にはさせないようにしている原理的な条件は何か(p.51)
 「私」とは何か、「自分」とは何か→「私を満たすもの、私の存在を充実させるものは何か」(p.56)
 た佑魄Δ垢襪箸呂匹ΔいΔ海箸
 ド堽僂狼されない行為か
 η篏奸頁秉奸砲楼か→,修發修眷簀秉婢坩戮鉾爾ζ仔租嫌悪感、汚穢感は何に由来するのか、⊃佑呂覆芝篏奸頁秉奸砲垢襪里(p.137)
 他人に迷惑をかけなければ何をやってもよいのか→
 ┐覆漆佑鮖Δ靴討呂い韻覆い里→人はなぜ人を殺してはならないと決めるようになったのか(p.179)
 死刑は廃止すべきか→たとえどんな犯罪を犯したとしても、その人間の生命を公権力が奪うことは許されるか。許されるとすればそれはいかなる根拠によってか(p.197)
 戦争責任をどう負うべきか→戦争に対して身に覚えのない戦後世代が、戦争責任を負う必要があるのかどうか、あるとすれば、どのような形においてか(p.215-216)

 論述についてまとめた原則も参考になる(p.11)。
 ,覆室分がその問いにつかまってしまったのか、その動機を考える。
 簡単な回答はありえないと覚悟する。
 L笋なそのものにまずい点はないかどうかを検討し、もっとよい問い方を編み出す工夫をする。


【書評】戦争請負会社

 2012/11/25 2回目読了。
 6年前の模擬国連関西大会(議題は民間軍事企業@国連第一委員会)に参加した際の勉強本。Privatized Military Firms(民営軍事請負業)に関する種々の議論を包括的にまとめたもの。軍事民営化の歴史、傭兵と民営軍事請負業との違い、安全保障が民営化された経緯、民営軍事請負企業の分類(軍事役務提供企業、軍事コンサルタント会社、軍事支援企業)、請負契約のジレンマ、文民と軍人の均衡、道徳の話など。関西大会では、国連平和維持活動を民営軍事請負企業に請け負わせることについての議論をしました。


【書評】よみがえれ、哲学 (NHKブックス)

 2012/11/25 2回目読了。
 1回目は8年前に大学のゼミ授業(現代倫理学)の補助教材として読んだはず。カント・ヘーゲル・フッサールのラインに連なる近代哲学を研究する著者2人が、近代社会(世界像が複数成り立つようになった世界で、個人の自由を一番のルールに据えつつみんなが共存する社会)をどのように築くことができるのかを近代哲学の知見から徹底的に討論した本。

【書評】ヘーゲル・大人のなりかた (NHKブックス)

 2012/11/25 2回目読了。
 1回目は8年前に大学のゼミ授業(現代倫理学)の補助教材として読んだはず。世界像が複数成り立つようになった世界で、個人の自由を一番のルールに据えつつみんなが共存する社会をどのように築くことができるのかをヘーゲルは考えた。著者(西研)の成長とともに読み砕いたヘーゲル像が示されている。


【書評】これがニ−チェだ (講談社現代新書)

 2012/11/25 2回目読了。
 自分の言葉で哲学する人によるニーチェ論。


【書評】爆笑問題のニッポンの教養 哲学ということ 哲学 (爆笑問題のニッポンの教養 7)

 2012/11/25 2回目読了。
 爆笑問題と哲学者野矢茂樹との対談本。5年前に本放送を観たときは太田氏の主張が理屈抜きで共感できたのだが、5年経つと全然ぴんと来なくなっていた。一方で、野矢氏の主張が『哲学・航海日誌』に記したもの(特に懐疑論に対する批判)とほとんど同じだと気付いた。


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Shozo MIYATAが執筆しています。本ブログの内容は所属組織と無関係な、個人的な見解です。
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