育児と仕事の両立に関する某企画を見学した感想です。
 育児中でかつフルタイム仕事中の女性(20代-30代)と、管理職の人(40代-50代)との間でお互いの立場について対話を通じて内省を深める企画を見学した。
 その間、両腕を胸の前で組んでいる人が、男性は半数以上、女性は1人だった。偶然にも男女差がはっきりと見られた。「腕を組む」行為は、防御、権威、対話の拒否を示す非言語の意思表示だ。つまり彼らは対話の場にいて、話を聞く風でありながらも、根本では対話を拒んでいたことになる。ただ、腕を組んでいた人たちを批判する意図はない。きっと彼らは無意識に腕を組んでいたはず。普段から自分を強く見せる必要に迫られ、育児中の人に胸を開く心理的余裕は乏しいのだろう。
 また対話企画の前に、育児と仕事を両立してきた女性数人が話す経験談を聞き、非常な衝撃を受けた。今からせいぜい10-15年前に彼女たちが理不尽にも被ってきた、周囲の無知と不寛容には唖然とした。
 同年代の友人諸氏が育児に取り掛かるさまを見るにつけ、独身/世帯持ちに限らず、自分がまさに現役世代で、自分たちの社会観と取り組みが次世代の社会につながることを考えさせられる。日本的雇用システムの現状(「男子正社員のみ年功序列で定年まで,職務と対応しない,社員というメンバーシップに基づいて雇用する慣行」(大企業にとくに強く,中小企業で弱い))(川端望氏の表現を拝借)の緩やかな改変と、その現状によって副次的に生み出されている社会的不公正(正規社員と非正規社員の格差、男性と女性の格差を正当化)の改善に向けた道程はまだまだ遠い。が、そこは私たち現在世代が一歩一歩頑張っていくしかないね。