日本国憲法の書写を通じた感想(憲法学説や実務に基づくものではありません)を断続的に書いています。

 20回目は第73条(内閣の職権)です。
 まず、この条文から2つの単語の意味を学べました。
  1) 総理:一切の行政権を統轄すること。
  2) 掌理:司り治めること。

 次に、「内閣総理大臣は内閣を統轄する大臣なので、内閣総理大臣と呼称される」ことを学びました。これまで「総理」の意味を知らず、どうして内閣総理大臣と呼称されるのかを知りませんでした。

 さらに、内閣総理大臣が首相とも呼ばれることについて、首相は日本ではあくまで通称であることも分かりました。内閣総理大臣も首相も英語で"prime minister"と訳されますが、"prime minister"の日本語訳はあくまで「首相」です。内閣総理大臣と首相の違いが何なのか分からず、ときどき混乱していました。日本における内閣の首席大臣の正式名称は内閣総理大臣です。一方で首相とは首席の宰相ないし大臣を意味し、特に議院内閣制において行政府たる内閣における首席大臣を指します。

 以下原文。
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 第73条(内閣の職権)
  内閣は、他の一般行政の外、左の事務を行ふ。
  1 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
  2 外交関係を処理すること。
  3 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
  4 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理すること。
  5 予算を作成して国会に提出すること。
  6 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
  7 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。