日本国憲法の書写を通じた感想(憲法学説や実務に基づくものではありません)を断続的に書いています。

 7回目は第12条(自由及び権利の保持責任・濫用禁止・利用責任)です。自由と権利を不断の努力で保持しなければならない主体は憲法(≒国家)ではなく国民であることがまず意外でした。次いで国民は自由と権利の濫用を禁止されていることと、立法その他の国政の上で最大限の尊重を必要とすることも意外でした。自民党の憲法改正草案で、「公共の福祉」という表現が「公の秩序」という表現に変わっていることが「国民の自由を過剰に制限しうる、国家主義的な条文だ」との議論を巻き起こしましたが、国民に向けて自由と権利に対する自重と理解を促している点では、現行憲法も同様に見受けられます。(一方で、「公共の福祉」と「公の秩序」の語感の違いは強く感じられます)

 以下原文。
________

 第12条(自由及び権利の保持責任・濫用禁止・利用責任)
  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。