【エッセイ】日本国憲法を書写した感想(13)

 日本国憲法の書写を通じた感想(憲法学説や実務に基づくものではありません)を断続的に書いています。

 13回目は第31条(法定手続の保障)です。
 本条は、"due process of law"(法に基づく適正手続)の原則を示したものです。法に基づく適正手続の原則とは、「刑罰を受ける際に、その手続きが法律に則ったものでなければならず、また、その方の実体も適正であることが要求されること」(Wikipedia)です。法に基づく適正手続の原則が定めてあると、国民の生命・自由(・財産)を国家の不当な権力行使から守ることにつながります。

 以下原文。
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 第31条(法定手続の保障)
  何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

【エッセイ】日本国憲法を書写した感想(12)

 日本国憲法の書写を通じた感想(憲法学説や実務に基づくものではありません)を断続的に書いています。

 12回目は第29条(財産権)です。
 国家の第一義的な役割は国民の生命と財産を守ることとされます。日本国憲法でも財産権が規定されていました。まずは国民が財産を持つ権利を国家が侵してはならない(第1条)とされています。ただし、この条文においては財産権がどのようなものを指すかは決まっておらず、別の法律で定められています(第2条)。この法律は何法というのでしょうか(ご存知の方はご教示ください)。一方で「財産」ではなく「私有財産」を、「正当な補償の下に、」国家は収用することができるとしています。公共事業のための土地収用(土地収用法)や、戦場での軍隊による物資収用(自衛隊法第103条)などが相当します。国家が収容するのは国家財産ではなく(国民の持つ)私有財産だから、「私有財産」と限定しているのでしょう。

 以下原文。
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 第29条(財産権)
  〆盪左△蓮△海譴鮨してはならない。
  ∈盪左△量榲は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

 c.f. 土地収用法
  第1条(この法律の目的)
  この法律は、公共の利益となる事業に必要な土地等の収用又は使用に関し、その要件、手続及び効果並びにこれに伴う損失の補償等について規定し、公共の利益の増進と私有財産との調整を図り、もつて国土の適正且つ合理的な利用に寄与することを目的とする。
  第2条(土地の収用又は使用)
  公共の利益となる事業の用に供するため土地を必要とする場合において、その土地を当該事業の用に供することが土地の利用上適正且つ合理的であるときは、この法律の定めるところにより、これを収容し、または使用することができる。
  第68条(損失を補償すべき者)
  土地を収用し、又は使用することに因つて土地所有者及び関係人が受け取る損失は、起業者が補償しなければならない。

 c.f. 自衛隊法
  第103条(防衛出動時における物資の収用等)
  第76条第1項の規定により自衛隊が出動を命ぜられ、当該自衛隊の行動に係る地域において自衛隊の任務遂行上必要があると認められる場合には、都道府県知事は、防衛大臣または政令で定める者の要請に基き、病院、診療所その他政令で定める施設(以下本条中「施設」という。)を管理し、土地、家屋若しくは物資(以下本条中「土地等」という。)を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、若しくは輸送を業とする者に対してその取り扱う物資の保管を命じ、又はこれらの物資を収用することができる。

【エッセイ】日本国憲法を書写した感想(11)

 日本国憲法の書写を通じた感想(憲法学説や実務に基づくものではありません)を断続的に書いています。

 11回目は第25条(国民の生存権、国の社会保障的義務)です。
 「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」については、これがプログラム規定であるか、法的権利であるかについて見解が分かれているそうです。プログラム規定とは、憲法の規定が、国家の単なる政治的指針を示したものに過ぎず、国民に対して、具体的な権利を保障したものではない(法的拘束力のない)規定をいいます。プログラム規定の実現は、立法権の裁量に委ねられ、国民は国に対してその違反の法的責任を裁判で追及することはできないとされています。

 プログラム規定という言葉を厚生労働分野のニュースで稀に見聞することがあります。ある法律がプログラム規定であるか具体的な権利の保障であるかどうかはどのように決まるのでしょうか?

 以下原文。
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 第25条(国民の生存権、国の社会保障的義務)
  ,垢戮胴駝韻蓮健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
  国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に務めなければならない。

【エッセイ】日本国憲法を書写した感想(10)

 日本国憲法の書写を通じた感想(憲法学説や実務に基づくものではありません)を断続的に書いています。

 10回目は第24条(家族生活における個人の尊厳・両性の平等)です。
 この条文を読んで、日本では同性結婚が憲法上認められていないようだと直感しました。「婚姻は、両性(つまり男性と女性)の合意のみに基いて成立」し、「夫婦が同等の権利を有し」、種々の事項に関しては「両性の本質的平等に立脚して、制定」するものとしているからです。たとえ同性結婚を認める法律を制定しても、内容がこの条文と明らかに矛盾するため、現行憲法下では無効になるのではないでしょうか。

 Wikipediaによると、日本では同性同士の養子縁組を通じて実質的な同性結婚が行われているため、日本では同性結婚を合法化する動きが活発ではないそうです。確かに、同性結婚に関する報道が欧米諸国では時々ありますが、日本では見聞しません。

 以下原文。
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 第24条(家族生活における個人の尊厳・両性の平等)
  〆Оは、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
  配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

【エッセイ】日本国憲法を書写した感想(9)

 日本国憲法の書写を通じた感想(憲法学説や実務に基づくものではありません)を断続的に書いています。

 9回目は第14条(法の下の平等、貴族制度の禁止、栄典の授与)です。
 第14条は不合理・恣意的な差別を幅広く禁止するための条文でした。手元に置いてある高校政治経済の資料集によると、「憲法第14条が規定している平等は、例外を許さない絶対的な平等ではなく、不合理な差別または、恣意的な差別取り扱いを禁止するというものである。それは、形式的・絶対的な平等原則を貫くと、かえって妥当でない結果が生じるおそれがあるから」とのことです。 銑は互いに関連しない内容でありながら、不合理・恣意的な差別を幅広く禁止するために、同じ条文に含まれているように思いました。

 半面、「法の下の平等」においては各種合理的と考えられる区別は合法になります(この意識はありませんでした)。例えば自動車運転免許・飲酒・喫煙などを認める年齢区分の設定、累進課税、選挙犯罪者に対する選挙権・被選挙権の一定期間停止などは合憲です。区別と差別の違いを認識しておくことが大事そうです。

 もう一つ。△任狼族の制度を廃止しています。したがって日本国憲法では貴族院が廃止されたのだろうと推測しました。

 以下原文。
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 第14条(法の下の平等、貴族制度の禁止、栄典の授与)
  ,垢戮胴駝韻蓮∨,硫爾吠薪であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
  華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
  1浜澄勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴わない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

【エッセイ】日本国憲法を書写した感想(8)

 日本国憲法の書写を通じた感想(憲法学説や実務に基づくものではありません)を断続的に書いています。

 8回目は第13条(個人の尊重)です。弁護士の伊藤真さんが言うには、日本国憲法で最も重要な条文は個人の幸福追求権を定めたこの条文であるそうです。ただこの条文が日本国憲法で重要な条文であると学校教育で説明を受けた記憶はありません。したがって伊藤氏の説明を聞くまで、私はこの条文が日本国憲法で重要であるという認識を持っていませんでした。
 
 ところで前条(第12条)にも登場する語句「公共の福祉」の意味合いが分かりません。本投稿にリンクしてあるwikipediaでもいろいろ書いてありますが、「人権の制約原理」のほかに分かる言葉がありません。特に法学を修めた人からご教示を頂けるとありがたいです。

 以下原文。
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 第13条(個人の尊重)
  すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

【エッセイ】都知事選の期日前投票にて

 先日(2/1土曜日)に都知事選の期日前投票を済ませました。毎回、選挙日当日に予定があろうがなかろうが、出口調査の参加狙いで期日前投票に行きます(余談ながら当日の投票所は自分の通った小学校。一度は当日に行きたいけれども、出口調査狙いで期日前投票に行くほうが今の自分にとって優先順位高目)。

 土曜日の朝に投票所へ。当日はN○K、共○通信社、読○新聞の調査員が出口調査を実施していました(日曜日の朝に出口調査の結果を出すには土曜日までの調査結果が必要なので、土曜日には出口調査を実施していると予想し、的中)。

 投票行動は特段明らかにしませんが、投票に先立ち、以下のようなことをしました。
 
 ・候補者の当選/落選に見当を付ける
 ・気になる候補者の立候補演説をニコニコ動画で流し見
 ・新聞記事の分析をざっと読む

 最後に紹介。藤原和博氏(元杉並区立和田中学校長)が挙げた投票の三つの選択基準「やれる人」「品の良さ」「英語力」が自分にしっくりきました。

印象に残った仕事中の会話

 過日、印象に残った会話が仕事中にありました。

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 Aさん(以下A)「すみません、会議で説明したいことがあるんですけど」
 宮田(以下宮)「はい。調整しますので、誰が喋るのかを教えてください」
 A「・・・『喋る』!?・・・素晴らしい会社だね!!」
 宮「・・・」
 
 (文脈上、応答の意味が分からず、若干の間が空く)

 A「では後程連絡します」
 宮「はい」
 
 (会話終了)
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 という謎の会話でした。

 どうも釈然としないので少し考えたところ、Aの発言の意図などについて考えが思い浮かびました。
 
 ・「(『喋る』なんて言葉を会社で使う世間知らずのアホでも雇ってくれているんだから)素晴らしい会社だね!!」という皮肉を、Aは宮田に言おうとしたのでは。
 ・上述の皮肉であるとすれば、Aは小物だ。所詮は(会社上の付き合いの)他人に過ぎないのだから、宮田をアホと見なすなら「こいつはアホだ」と内心で判断すれば良いだけのことで、わざわざ本人に言って、精神的な優位性を自分で確認する必要はなかろう。


 一方で、宮田がふと使った「喋る」という表現についても考えが思い浮かびました。

 ・「喋る」という表現は、(少なくともAのような人間が否定的な反応をすることがあるのだから、)会社で使うにしてはあまり適切な表現ではないようだ。「喋る」ではなくて「説明する」とでも言えば、Aが上述のような反応をすることもなかっただろう。
 ・Aの反応にかかわらず、宮田も「喋る」という表現が「大人っぽい表現」ではないとは思っていたけれど、どうしてそういう風に感じるのかはよく分からない。一つの言語体系のなかで、どの表現が適切でどの表現が適切ではないかは社会的な文脈、社会的な制約条件に依存しているのだけれど、それらを特に意識して普段から言語を使っているわけではない。


 さらに、母語を使う場合と非母語を使う場合についても考えが思い浮かびました。

 ・宮田にとっての母語である日本語でも上述のような「不適切な用法」を使ってしまうことがあるのだから、非母語でも同様のことが起こるだろう。例えば、「洗面所」を指す英単語は複数あり、"loo"は大変砕けた(卑猥な意味を持ちうる)表現で、公衆の面前で使う単語ではなく、"restroom"や"washroom"を使うべきとされている。文章は理解できるけれど、「どうしてそういうことになっているのか」という社会的な文脈、社会的な制約条件は皆目分からない。


 普段、誰とどのようなことについて話したかを逐次覚えておくのはなかなかできないのだけれど、上述のような考えが浮かんだので、Aとの会話は印象に残りました。

【エッセイ】日本国憲法を書写した感想(7)

 日本国憲法の書写を通じた感想(憲法学説や実務に基づくものではありません)を断続的に書いています。

 7回目は第12条(自由及び権利の保持責任・濫用禁止・利用責任)です。自由と権利を不断の努力で保持しなければならない主体は憲法(≒国家)ではなく国民であることがまず意外でした。次いで国民は自由と権利の濫用を禁止されていることと、立法その他の国政の上で最大限の尊重を必要とすることも意外でした。自民党の憲法改正草案で、「公共の福祉」という表現が「公の秩序」という表現に変わっていることが「国民の自由を過剰に制限しうる、国家主義的な条文だ」との議論を巻き起こしましたが、国民に向けて自由と権利に対する自重と理解を促している点では、現行憲法も同様に見受けられます。(一方で、「公共の福祉」と「公の秩序」の語感の違いは強く感じられます)

 以下原文。
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 第12条(自由及び権利の保持責任・濫用禁止・利用責任)
  この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

【エッセイ】日本国憲法を書写した感想(6)

 日本国憲法の書写を通じた感想(憲法学説や実務に基づくものではありません)を断続的に書いています。

 6回目は第11条(国民の基本的人権の享有、基本的人権の永久不可侵性)です。日本国憲法の三本柱は「国民主権」・「戦争放棄」・「基本的人権の尊重」で、この条文は「基本的人権の尊重」が第11条で保障されていると中学校の授業で説明を受け、テスト用に暗記したような記憶があります。

 以下原文。
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 第11条(国民の基本的人権の享有、基本的人権の永久不可侵性)
  国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
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